eエコノミーの世界でよく言われる「中抜き」現象はここにも起こっている。要するに、何か価値を生むのかを、一人一人が改めて考え直さなければならないということだ。たとえば経理のプロとして何かできるのか。多くの仕事が機械に置き換えられるようになったとは言っても、最後に判断するのは人間である。また、機械に置き換えられたことで余った時間を、経理システムの効率化の方法を模索したり、キャッシュをより効率的に回す方法を考案したりといった、より付加価値の高い仕事に挑戦する時間にあてることもできる。あるいは、どこでなら自分の専門性が価値を生むのかを考えてもいい。何もスーパークリエイターやコピーライターだけが「創造型」なのではない。自分なら何かできるか。人よりモノを売るのがうまい、プレゼンテーションがうまい、すぐれた判断ができる、若者や高齢者のニーズに敏感である等々、自分の強みを見つめ直し、それを活かして工夫することが何がしかの価値を生むはずだ。
インターネットでは、誰でもがコミュニケーションの主体になれる、もう一つの例としてインターネット百科事典について、紹介しておきます。ワールド・ワイド・ウェッブのリンクをたぐっていった結果としてできてくる百科事典のような知識休系にふれましたが、ここではWIDEプロジェクトで進行している、インターネット上で意図的に百科事典を編纂しようという動きを見てみましょう。そもそも百科事典というのは、各分野での権威を集めて人間の知識の集大成をつくることによって、知識の伝達をはかっているものと見れば、一つのコミュニケーションの手段だといえます。インターネット上での百科事典の計画というのは、普通の百科事典とは大きく異なり、インターネットの参加者それぞれの視点での知識の体系を、それぞれの価値観に基づいてつくっていき、それを受け取る側も、自分に合った視点による知識を選びながら体系的な知識を得ていくことができるようになっているという試みです。知識の裏づけに権威があるというのではなく、それぞれの人がもっている見方に基づく自分の判断によって知識を選び、獲得していくという方法です。インターネットの空間で、参加者すべてが対称に情報の流通ができるということから、この試みも可能となっているわけです。
証券会社の業務とネット証券の口座数証券会社にはざっくり言って三つの業務がある。株式や債券などの発行にかかわる業務、上の有価証券売買の仲介業務(委託売買手数料)、そして資産社には、インターネットとディスカウントブロー運用業務である。このうち、大きな収益源を占めているのが委託売買手数料である。ただ、これが自由化されたということは、地域ごとに支店を構え、対面販売を基本とする証券会社と、支店も対面チャネルも持たず、コンピュータ・システムを少人数で運営するネット証券との真っ向勝負となり、コスト構造の違いから見て、ネット証券が有利なのは明らかである。その成長ぶりは、ネット証券の口座数に端的に現れており、SBIイー・トレード証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券、カブドットコム証券の上位5社の口座数は、2008年1月現在で447万6000口座となった(ちなみに、このうちSBIイー・トレード証券と楽天証券で個人売買代金のほぼ半数を占める)。